芸術の秋を愉しもう!要町のおすすめスポット豊島区立「熊谷守一美術館」

暑い夏が過ぎ、ようやく肌に感じる風が気持ちいい季節がやってきました。この時期になるとよく耳にするのが「食欲の秋」や「芸術の秋」という言葉。
気候的にも過ごしやすく、食欲をそそる秋の味覚が楽しめることで季節を表すのに例えられているフレーズです。

人それぞれ秋の楽しみ方は違いますが、今回は「芸術を愉しむ」という事で晴れた日にふらっと出掛けたくなるスポットをご紹介したいと思います。

迷わず行ける!看板が道案内

金木犀の香りが漂う秋晴れのある日、今日こそは!と以前から訪れてみたいと思っていた住宅街の中に佇む美術館に行ってきました。

要町駅2番出口を出て歩道を真っ直ぐ進むと、左手にエンジ色の看板に気づきます。

看板には丸みをおびた柔らかい書体で書かれた豊島区立 「熊谷守一美術館」の文字が。
「これは、分かりやすい!」と、よく道に迷う私にとってはありがたい道案内の看板です(笑)。

そしてこちらが、今回お目当ての画家「熊谷守一」氏が45年間過ごした住居跡地に建てられた地元でも名の知れた唯一の美術館です。

今にも動き出しそうな蟻の壁画がお出迎え

看板の地図を見ながら辿り着いた先は、閑静な住宅街の一画です。

コンクリート打ち放しの建物の入り口横にある壁には、立体的に彫られた蟻の壁画と「クマガイモリカズ」とカタカナで描かれた文字が出迎えてくれます。

よく見ると木々の間にも彫像やオブジェが置かれており、見る角度や光の当り方で見え方が変わり楽しめます。

実は、ぐるっと回った右側の壁にも絵が描かれているのを後日ネットのクチコミで知りました!見落してしまったようです(汗)。
また次回の楽しみに取っておくことにします。

カフェスペースには、館長を務める画家・彫刻家でもある「熊谷榧(かや)」さんの作品も

入り口を入ると右手にはカフェがあり、弧を描くように椅子が配置され、突き当りの壁には熊谷守一氏の次女であり、館長を務める画家・彫刻家でもある「熊谷榧(かや)」さんの作品が目に飛び込んできます。

作品名「しゃくなげの木の下のランチタイム」と「ストーンヘンジ」。
椅子の背もたれ部分のスペースには、お皿や壺・急須などの焼き物が展示されています。

現在はカフェの営業は行っていないとのことですが、展示されている榧さんや他の作家さんたちの作品を鑑賞しながらコーヒーが飲めるフロアになっています。

人気作品「白猫」など東京で唯一、常設で所蔵作品が見られる

また、左手にある第1展示室には「熊谷守一」氏の人気作品「白猫」などの油絵作品約30点あまりと使用していたイーゼルやチェロ、パイプが展示されています。

2階の第2展示室には、「蟻」「蛙」などの墨絵や書20点あまりが展示され、1・2階とも都内唯一の常設展示となっています。※こちらはカメラ撮影禁止です。

それぞれの作品には榧さんによる作品説明が添えられており、説明を読む前と後では作品の捉え方が変わり、一層深みがでるように感じました。

3階は、普段は貸しギャラリーとなっています。
訪れた日は期間限定の「守一最後の十日間展」が行われていました。※9/19で終了しています。

娘の、熊谷榧さんが臨終の父親(熊谷守一氏)の顔や家族の様子、そして愛用のチェロを描いた作品が展示されていました。

「守一様式」とも呼ばれたシンプルな線と構図で描かれた作品が魅了する館内

1階に降りてきて、改めてカフェスペースを見渡すと壁には「熊谷守一」氏の作品がシルクスクリーンで印刷されて展示されています。

常設展示室内の撮影はできませんが、印刷されたものはOKということで気になった作品をカメラでパチリ。

作品名「仏前」
こちらの作品について広報を務めているスタッフの方に伺うと、

「長女の萬(まん)さんが21歳の若さで亡くなった時に、その死を悼み仏前にお供えした卵を描いた作品です。卵の両脇に描かれているのはロウソク(炎)を表している」
と説明をしてくださいました。

守一氏は、その他に幼い2人の子どもを相次いで病気で亡くしており、長女の萬さんを含めると5人の子どもの内、3人が亡くなっているといいます。

3つの卵には、亡くなった3人の子どもたちへの深い悲しみと供養の心を表しているようで。何となく3人仲良く寄り添った白く輝く3つの魂のようにも見えます。

シンプルな構図の中にメッセージが込められた、心に残る絵ではないでしょうか。

こちらは、自宅の庭にやってきて住み着いた野良猫を描いた作品名「白猫」。
守一氏の代表的な作品で独特の線と平塗りが特徴的な画風で描かれた猫は、ファンにとても人気のある作品です。

「主人に忠実な犬よりも、自由気ままな猫が好き」というほど猫好きだったようです。
猫好きな私も理由に納得です(笑)。
1階の受付では、ポーチやカレンダー・ポストカードなどを購入することができます。

「父は絵描きだから、絵だけが残ればよい」という榧さんの思いで、住居跡地に建立

長い髭を生やした風貌などから「仙人」とも呼ばれ、生活に困窮してもお金のために絵を描くことはせず、長年の功績を認められた人に与えられる文化勲章を辞退するなど、世間一般的なことには流されず独自の信念を貫き通した画家。

何よりも家族を愛し、庭に一日中寝そべり草木やそこへやってくる小さな命を大切に思い愛した人だったといいます。

そんな「熊谷守一」氏の絵を通して、「守一のものの見方や、生き方を感じてもらえたら」という思いで館長でもある次女の熊谷榧さんが創設し、後に豊島区立美術館として開館したのが「熊谷守一美術館」です。

落ち着いた雰囲気の館内で、熊谷作品を静かにじっくりと鑑賞できる唯一無二の場所です。
ぜひ、みなさんも足を運んで芸術の秋を愉しんでみてはいかがでしょうか。

豊島区立 熊谷守一美術館
住所:東京都豊島区千早2丁目27-6
最寄り駅:東京メトロ有楽町線・副都心線「要町駅」出口1・2 徒歩9分
    :東京メトロ有楽町線・副都心線「千川駅」出口3 徒歩9分
    :西部池袋線「椎名町駅」北口 徒歩13分
TEL:03-3957-3779
開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで)
休館日:毎週月曜日(祝祭日問わず)、年末年始(12/25~1/7)
観覧料:一般 500円(企画展は特別料金)

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。